写真とコトバの練習帳

日々をつづる、メモブログ。

イノベーティブ料理を模索し続けている、フレンチシェフのお話

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広島市中区にあるフランス料理のお店「Les Ambassadeurs (レ・ザンバサドール)」のシェフ、中土征爾さんにお話を伺いました。中土さんと知り合ったのは、日本酒ナビゲーターの資格をとりに行った際にご一緒させて頂いたのがきっかけ。ワインや料理全般に対する知識が深く、愛を持たれているのだなという気持ちが終始、じわじわと伝わってきました。また、取材をこころよく引き受けてくださったことに感謝すると共に、何でも質問に答えてくださるお人柄の良さに助けて頂いたなと、心から感じています。

お味噌汁をほめられたのがうれしかった、子供時代

中土さんが料理に目覚めたのは幼少の頃。ご両親が共働きで多忙だったことで、代わりにお味噌汁などの簡単な食事を作ってみたところ家族からほめられ、そこから料理が好きになったそう。ここから料理の道を目指すぞとなったわけではないものの、これが大きなきっかけになったそうです。

お味噌汁から、フレンチに?

ご家族にほめられたのをきっかけに、料理の楽しさに目覚めた中土さん。和食ではなくフレンチのシェフとしてお仕事をされるきっかけは、料理学校で全ての料理を勉強した後に、一番わからなかったのがフレンチだったから。知らないことを知る喜びに目覚め、フランス料理を選ばれたのだとか。また、もう一つの理由はワインが好きだったこと。ワインと和食はなかなか合いにくい組み合わせがあり、やはりワインならフランス料理だなという結論に至ったそう。ちなみに、当時ちまたで売られていたワインはあまり美味しくないものばかり。もっと美味しいワインを飲めるようにならないか、という気持ちも料理人を目指す気持ちに一役買ったのだとか。

お店の名前はどうやって決めた?

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お店の名前はフランス語で「大使」という意味。フランスのホテルドクリヨンの中にある二つ星レストランのお店と同じ名前だそうで、そこにいらっしゃった方に命名して頂いたのだとか。本当はもう少し覚えてもらいやすいお店の名前が良くて、「『シェ・ナカド』か『レストラン・ナカド』かな~と言われていました。「でも自分の名前をつけちゃうと僕がずっといないといけないからな・・・。」と。

いやいや、でも飲食店の大変さは少し様子を覗かせて頂いただけでひしひしと感じましたよ。ちなみに、とってもかわいい奥様が一緒に働かれているのですが、すごく華奢なのにきびきびと動かれていて、心底感心してしまいました。

お店のこだわりや自慢は?

食材を大切にしつつも、どうすれば独創的でイノベーティブなメニューになるのか。美味しいのは当たり前で、驚きと感動を食べてもらう人にどう与えるか。中土さんはこのことをいつも意識して、ちょっと変わったことをしようと挑戦されているそうです。

 

お店の自慢の料理はこちら(写真はお借りしました)

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ちょっと変わったことをしたいと言われていた通り、こちらはパスタにしか見えませんよね。実際は「水イカのカルボナーラ仕立て」。フォークでクルクルまこうとするお客様を見て、シェフはにんまりされているのだとか。

フランス料理の難しいところは?

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こういうものがフランス料理というイメージがすでにあるため、創作した料理を出すとこれ和食でしょ、これイタリアンでしょと言われてしまうことも。どうしても、日本の食材は和食に合うなと感じることがあり、日本の食材をいかにフランス料理に調理するかが課題なんだとか。以前、1年ほど和食を作られていたこともあるそうで余計にそのことを感じられるそう。

なんでもフランス料理の原点は、保存状態の悪い素材に濃い味のソースをかけて食材の味を消してしまおうというもの。そのため、フランスで習ったことをそのまま再現しようとすると素材を生かす料理は作れない。日本の食材は繊細で悪くいえば水っぽいものが多く、フランスのものに比べると旨みが少ない。そのため、濃いソースをかけると食材が死んでしまう。本来の作り方とは少し違う、素材の生きたフランス料理を作るということに、また難しさを感じておられるそうです。

なるほど。確かに、食べる人の気持ちや素材の違いを受け入れながら料理を作るのって、難しそう。日本とフランスの違いをも、それと同時に受け入れなければいけないということですね。フレンチのシェフって日本にフランス料理や文化の橋渡しをするまさに「大使」なんですね。

楽しいときと困ったときのエピソードを聞かせてください

味見して美味しくできた!と思ったとき。お客様が楽しそうにお食事をされている様子をみたときと、美味しいと言ってもらえたとき。

やはり、美味しい料理が完成してそれで喜んでもらえたら、料理人冥利につきますよね。

食材が台風や発注間違えで届かないときには、料理人の無力さを感じます。料理人は食材がなければどうにもならない。もうそういうときは走り回って食材をかき集めますけどね、とのこと。

やはり料理のもとでもある材料は、料理人にとって要ですね。

レストランをオープンしてすぐのときは、知名度が低くなかなかお客様が来てくれない。そこで、フランス料理は手軽に食べるものではないという一般的な意識を払拭しようと、仕掛けを試みてみた中土さん。その結果わかったのが、実はフランス料理には特別さを求めている人が多いということ。そこからは、特別な料理を提供して、特別な気分で食べてもらい、今日は特別な日だったからという気持ちで帰ってもらおうという「肩肘張って来て下さい」のスタンスに変更。その後、お店は着々と軌道にのったのだとか。

広島だからこそできるフレンチを、県外の方にも是非食べて頂きたい

瀬戸内海の魚介類や中国山地の野菜をベースに使って料理をすることを意識されている、広島っ子の中土さん。広島の良さを知るきっかけとして、県外の方にもお店に足を運んでもらいたいと思われているそう。

 

広島の食材をフレンチに変身させた、イノベーティブ料理に日々挑戦されているのですね。

中土さんは、料理人魂をいたるところから感じる方

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ランチとディナーの間のアイドルタイムに時間を割いて頂きお話をお伺いさせて頂きました。仕込み作業をしながらの取材だったのですが、オーブンの音が何度も鳴り響きます。その音はパンが焼けた合図。なんと、お店でパンも焼かれているのです。

これだけ毎日のように料理をされていて、普段もされることはありますかとお伺いしたところ、得意料理は「マーボー豆腐」だそう。思わず笑ってしまいましたが、これめちゃくちゃ気になりますよね。さすがにお店で出すのは難しそうですが、身内だけのマーボー豆腐の会を今度しようかなと考えられているそう。フレンチシェフの作るマーボー豆腐、是非食べてみたいですね。

得意料理に中華料理が出るところなど、フレンチのシェフとしてはもちろん、人としての楽しさもしっかりと持ち合わせておられる中土さん。仕込み作業の手際の良さを眺めながら伺ったお話は楽しくて、あれも聞けばよかったこれも聞けばよかったと帰ってきてから思ったほど。今度はお客さんの少なそうな日を狙って、カウンターで料理を頂きながらまたお話の続きを伺いに行こうかなとたくらみ中です。